Chapter 2 開発チーム インタビュー
Chapter 2 開発チームメンバー
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Fred Wood
テキサス州サンアントニオのゲームデベロッパー。DELTARUNEチームにはChapter 2の初期から参加。おもにフィールドまわりを担当。
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Jean Canellas
ソウルライク系プラットフォームゲームのデベロッパー。Chapter 2では弾幕以外の戦闘まわりをすべて担当(一部、手がけた弾幕もあり)。Fredの数週間後にチーム入り。
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Taxiderby
別名、Juju(Juju Adamsとは別人)。Chapter 2では弾幕を担当。今は他にもいろいろやる人。
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Chess
プロゲーム配信者&アマチュアゲームデベロッパー。『UNDERTALE』の開発後期から、「トビーのお手伝い」的存在。
『DELTARUNE』の開発チームに入って、
最初に手がけたものは?
Fred:
2番目でもいいですか?2番目は、ポインの部屋でした。チームに入って2日目に、プレイヤーが最初にポインに会う部屋を作りました。ポインがどういうキャラクターなのか、なんにも知らされてなかったけど、作りながら「このキャラ好きだわー」って思ったのを覚えてます。みんなにもポインを好きになってもらえて、うれしいです。
Jean:
ギガクイーン戦です。入って早々、なかなかの大仕事が待っていました。
チーム入りして最初の2週間は、トビーといっしょにギガクイーンのプログラミングとデザインをする日々でした。シーンの参考にするために、『スーパーパンチアウト!!』をプレイしたり、街中でストリートファイトしたりして…(すみません、ストリートファイトは、ちょっと話盛りました…)
Taxi:
私がチームの主要メンバーになったのはかなり初期のころで、Chapter 2の開発が正式に開始になる前から、弾幕を作ってました。だから、チーム入りしてすぐ作ったものの中には、まだ世に出てないものもあるんですよ。
Chess:
最初に作ったのは~…たしか、Chapter 1の「闇の世界」用の、クリスとスージィの仮スプライトだったと思います。キャラクターデザインはGigi※が作ってくれたのがあったけど、スプライトはまだ「光の世界」用しかなくて、トビーに作るよう頼まれたんです。その仮スプライトをベースに、テミーが最終版を仕上げてくれました。
(※ Gigi --> 『UNDERTALE』と『DELTARUNE』のコンセプトアートを手がけたプロアーティスト。トビーとChessとは、長年の友だちでもある)
上:比較的ふつうのバージョン(最終版とは、少し違ってます)
下:最初に作ったバージョン(なぜか、髪の毛が上着の中に…)
こんな感じに、スージィを何パターンか作って、クリスは、戦闘中の待機モーションと斬りつけ動作のコンセプトアニメーションを作りました。
(この仮バージョンは、斬りつけ動作がちょっとやりすぎ)
このとき特に深く考えずに決めた部分(「マントの影が青い」、「剣の刀身がピンク」etc.)が最終版まで残って、今ではファンアートにも描かれてるって、なんだかおもしろいですよね。
Chapter 2で担当したものの中で、
いちばん気に入ってるのは?
Fred:
花びん関連のおもしろ要素全部ですね。車輪がついてる花びんとか、花びんを蹴り飛ばすスージィとか… 中でも特に気に入ってるのは、「花びんレース」です。落っことさずにゴールするのは、このチャプターでも指折りの高難易度だと思うし、できたときの達成感も最高でしょう?「ギリギリ、なんとか、ゴールできそうな感じ」になるように、あの部屋のレイアウトは、デザインの調整とテストを重ねました。それこそ絶妙なバランスを要する作業で、プログラマー冥利に尽きました。
Jean:
たくさんありすぎるけど、1つ選ぶなら、とあるチート行為をするとスパムトンNEOが怒るようにしたこと、ですね。
Taxi:
スパムトンの「[[F1を押す]]とヘルプ」。先にこのセリフがあって、戦闘の内容についてトビーと話し合ったときに、トビーが、「F1押したら本当に何か起きるようにしたほうがいいかも」って言ったんです。そのときパッとひらめいたアイデアが、「天使の姿をしたミニスパムトンが降りてきて回復してくれる」というものでした。トビーに提案したらOKもらえたので、自分でアニメーション作って、コーディングして、実装しました。まさかこんなに話題になるなんて、そのときは思いもしませんでしたけどね!
Chess:
バナナ。…ウソです。
私のいちばんのお気に入りは…「オリジナルのひと」がChapter 2にまた出てくること。あまり大きな声じゃ言えないんですけど、あれは私のせいでもあるんです…
開発中、特に印象に残っている
トビーとの思い出は?
Fred:
トビーと仕事をしてきて、ゲーム開発者として多くの経験を積むことができました。トビーの仕事ぶりを見ていると、ためになることがたくさんあります。おかげで、プログラマーとして大きくレベルアップできました。いちばん「楽しくなかった思い出」は、僕が制作したデザインへのフィードバックを全部、目がチカチカしてすごく読みにくい色のjokermanフォントで書かれたことです。
((トビー注:“全部”じゃないです。それに、少ししたらやめたし))
Taxi:
チームでChapter 2を通しプレイしたとき、スパムトンのショップが出てきて、「これ、私まだ見てない」って言ったら、トビーが「見てないの!?」って言って、全部いったん保留にして、すぐに見せてくれたこと。間違いなく、その価値ありました。
Chess:
トビーは、チャプターのストーリーをチームに説明するとき、あらすじを文章にまとめて各自に読ませるんじゃなくて、チャプターまるまる、生ラジオドラマみたいに実演してくれるんです。ダイアログは全部、キャラクターごとに声色を変えて読んで、各シーンに合った音楽を流して、選択肢のところでは私に選ばせたりして!『DELTARUNE』のストーリーを体験するのに、これ以上ベストな方法はないと思います。
Jean:
トビーがチームにチャプターの読み聞かせをしてくれたことと、Chapter 2の各キャラクターの人気が時間とともにどう変化していくか、トビーが予想して作ったグラフについて、みんなで話し合ったときのこと。
Taxi:
…やっぱり私も、「トビーのチャプター読み聞かせ」に変えていい?
作っていていちばん楽しかった
キャラクターは?
Jean:
スパムトンNEO。ピピス攻撃のバランス調整が永遠に終わらなかったことを、よく覚えてます。トビーに動画を送って確認してもらうと、フィードバックが返ってきて、また調整して…っていう作業を、えんえん繰り返しました。
あんまりやりすぎて、ピピスが夢に出てきたほどです…
Fred:
ノエルがサイバーシティでネズミのパズルに挑戦するところは、全編、すごく思い入れがあります。中には実装するのがかなり難しいパズルもあったんですけど、やり遂げたおかげで、プログラマーとして成長できました。
Taxi:
ルールノーですね。自分が担当したのは弾幕だけだったけど、ボコリングマシンのいろんなパーツを取り入れて作るのは、楽しかったです。完全にアヒルの姿のマシンに攻撃されたときの演出も、全部私が担当しました。その次が、ノエルのモノローグのシーン。どちらも捨てがたいです。
Chess:
クイーン!!彼女は、最高にステキです。クイーンが登場するカットシーンをいくつか作らせてもらったし、ギガクイーン戦のスプライトも、大半を担当しました。そのとき作ったモックアップのgifアニメーションが、こちらです。
(初期のモックアップアニメーション、99999フレーム分)
(手をバンバンするアニメーションのテストで、いろいろ遊んでみた)
トビーが描いたコンセプトアートでは、ギガクイーンの鼻はとんがってたんですけど、スプライトにするとどうしてもじゃまになってしまうので、最終的には、特に見栄えがしたり、おもしろく見えるときだけ、とがらせることにしました。
インタビューの最後に言っておきたいこと
Fred:
じゃあ、開発中、特におもしろかったバグの話を。サイバーシティのでっかいゴミ箱の横にスージィが立っている状態でコケを食べて、そのあとゴミ箱に話しかけると、他の方法では手に入らない超強力なアイテムをゲットできてしまうバグが見つかったんです。その原因の特定に、なにげに時間がかかって… コケは強力、ってことですね。
Jean:
僕も、バグの話。ポップアップという敵の「こうどう」コマンドに、「クリック」っていうのがあるんですけど、選ぶと、この敵のコピーがどんどん増えていって、ゲームがクラッシュした“みたいな”画面になって、敵を見逃せるようになるんですよね。ところがある日、僕はポップアップのスプライトがエンドレスに増殖して、本当にゲームがクラッシュしちゃうバグを生み出してしまいました…
それから、最後にもう1つ。このチームで仕事ができて、夢みたいです。みんなめちゃくちゃいい人たちで、才能あふれるメンバーばっかりで… プレイヤーのみなさんにも、早く次のチャプターを体験してもらいたいです!
Taxi:
これはもう、みんな知ってることだけど…
クイーン戦の初期バージョンを作っていたときは、ちょうどトビーの誕生日が近かったんです。だから私は、トビーに「ヘンなバグレポート」を送りました。ちなみにこの“バグ”は、誰も直しませんでした。
Chess:
バードリーの「闇の世界」での姿をデザインしたとき、自分でも、ちょっとディテールに懲りすぎててテミーには苦労をかけそうだな、と思いました。冗談で、登場直後に「超強力フォーム」に変身させようか、なんて話もしていて。要は、アニメーションをつけやすいシンプルな姿に変わるってことなんですけど。
ヘッドセットと、ポケット2つだけ。
(「闇の世界」バージョンのバードリーの胸にあしらわれた「紋章」は、じつはポケットだったのです。勉強になったでしょ?)
でも、テミーはもとのデザインにちょっとだけ手を加えて、あとはなんとかやり通してしまいました。テミー最強!ありがとう!!
それと…たぶん、わざわざ言うまでもないと思うけど…みなさん、Chapter 3をお楽しみに!!これまでのチャプターで、私はいちばん好きです!!